No.121 | ||||
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94式高射装置 | 高射装置 | |||
装備ステータス | ||||
火力 | 雷装 | |||
爆装 | 対空 | +3 | ||
対潜 | 索敵 | |||
命中 | 回避 | +1 | ||
射程 | ||||
装備可能艦種 | ||||
駆逐艦 | 軽巡洋艦 | 重巡洋艦 | 戦艦 | |
軽空母 | 正規空母 | 水上機母艦 | 航空戦艦 | |
備考 | ||||
開発不可、改修可、入手方法 補強増設に装備可能 | ||||
改修更新 | ||||
91式高射装置 → 94式高射装置 → | (二番艦が秋月型、吹雪改二) → 10cm連装高角砲+高射装置 | |||
(二番艦が摩耶改二) → 12.7cm高角砲+高射装置 | ||||
比較的新しい高角砲対空射撃用の高射装置です 本高射機は測距儀がパッケージされており、高角砲の有効な対空射撃をサポートします。 新造大型艦や、防空駆逐艦「秋月」型に搭載されました。 |
ゲームにおいて
- 91式高射装置の上位品。高射装置そのものの特性・検証は91式のページに集積されているのでそちらを参照。
- 91式高射装置の開発解禁により相対的に入手難易度が低下したが、近年は改修素材としての需要が高まっている。
入手方法について
- 初期装備艦
- 任務
- 『防空駆逐艦「初月改二」、推して参る!』選択報酬(×2)
- イヤーリー(6月)『【高射装置量産】94式高射装置の追加配備』報酬
- 「91式高射装置★max」からの改修更新
本装備を消費する用途
- 任務で廃棄する
- 任務『駆逐艦主砲兵装の戦時改修』、『戦時改修A型高角砲の量産(クォータリー)』*1
- 報酬として「12.7cm連装砲A型改三(戦時改修)+高射装置」が入手できる。
- 任務『駆逐艦主砲兵装の戦時改修【II】』*2
- 報酬として「12.7cm連装砲B型改四(戦時改修)+高射装置」が入手できる。
- 任務『駆逐艦主砲兵装の戦時改修』、『戦時改修A型高角砲の量産(クォータリー)』*1
- 改修素材として要求
- 「12.7cm連装砲B型改四(戦時改修)+高射装置」の後半*3
- 「10cm連装高角砲群 集中配備」の後半*4
- 「10cm連装高角砲」の更新
- 「12.7cm連装砲A型改二」の更新
- 「10cm連装高角砲+高射装置」の更新
- 「10cm連装高角砲改+高射装置改」の後半
- 任務廃棄・素材使用することを想定する場合はうっかり改修してしまわないように注意。改修資材の無駄になってしまう。
改修工廠について
- 改修に必要な二番艦は秋月・照月・初月・涼月・吹雪改二・摩耶改二のいずれか。
二番艦により★+6以降の改修で必要な装備と、★maxからの更新先も変わる。
なお、二番艦により★maxからの更新先が分岐する初の装備である。- ★+6以降の改修と更新に必要な装備は、秋月型or吹雪改二なら10cm連装高角砲、摩耶改二なら12.7cm連装高角砲。
それ以外の消費資材はすべて同じ。- 改修だけなら、駆逐艦用主砲として優秀な10cm連装高角砲より、12.7cm連装高角砲を使った方がお得だろう。
- 更新先は、秋月型or吹雪改二なら「10cm連装高角砲+高射装置」、摩耶改二なら「12.7cm高角砲+高射装置」になる。
- 現在のところ、12.7cm高角砲+高射装置へ更新するメリットはほぼない。
また、10cm連装高角砲+高射装置は秋月型を入手できれば初期装備として手に入り、この装備を改修に使用するA型改三・B型改四が互換になる点にも留意。
- 現在のところ、12.7cm高角砲+高射装置へ更新するメリットはほぼない。
- ★+6以降の改修と更新に必要な装備は、秋月型or吹雪改二なら10cm連装高角砲、摩耶改二なら12.7cm連装高角砲。
改修の効果について
- 最大まで改修した場合の補正値は、火力+3.1、命中+3.1、加重対空+18.3*5、艦隊防空+7.3、回避+1となり、対空電探と比べてもなかなかの数値である。
- 改修による補正量は91式高射装置も同じなので、最終的な性能差は素対空+1による加重+4.0と艦防+0.3の差になる。
91式にはない秋月型の対空ボーナスを含めればもう少し差はつく。
- 改修による補正量は91式高射装置も同じなので、最終的な性能差は素対空+1による加重+4.0と艦防+0.3の差になる。
装備ボーナスについて
- 特定艦に装備した時、パラメータが更に変化する装備ボーナスがある。
- 他装備との組み合わせで相互シナジーボーナスも発生する。
- 他装備とのボーナスを持つ場合、それもまた別に加算される。
- 対象艦と各ボーナス値は下表の通り。艦種該当艦は艦娘名一覧(艦種別)で確認を。
艦名記載は、その値が適用される一番下の改造段階が基準。
※装備ボーナスのある他装備の一覧はこちら
- 2021/03/31アップデートで秋月型に装備ボーナスが追加された。
- 対空値ボーナスは2022/08/04アップデートから対空砲火に寄与するようになった。装備本来の対空値とは係数が異なる。遠征ではこの数値のまま加算される。
アップデート履歴
- 2014/11/14:実装。
- 2015/01/09:吹雪改二の初期装備として入手可能となった。
- 2015/03/13:摩耶改二の初期装備として入手可能となった。
- 2020/03/27:更新元装備の91式高射装置の開発が解禁された。
- 2021/03/30:秋月型に装備ボーナスが追加された。この時期は運営告知「さらに防空能力が向上します」に反して効果がなく、対空CI能力や発動率の向上なども確認されていなかった。*9。
- 2022/08/04:装備ボーナスの対空値が対空砲火でも有効になった。
小ネタ
- 高射装置は、すべての高射砲を連動させ照準を一手に請け負う、対空射撃に関して非常に重要な装置である。
この装置無くして、対空砲の命中はまず望めなかった
- 絵では3人の妖精さんが持ち運んでいるが実物は大きい。
全高はおよそ1665mm、左右には4.5m対空立体視式測距儀が突き出ている。
大きな円筒形のカバーの内部中央にはターンテーブルが据えられ、その中央上部に高射機がありる。
周囲には7名分の座席が取り付けられ、操作器具と各種ハンドルがずらりと並んでいる装置で、ちょっとした物置小屋ぐらいの大きさはある。
- 内部には測距儀がついていて、これを使って情報を集めて照準をする
- 測距儀の片方の鏡は45度で固定されていて、これは三角関数における90度の部分である。
反対側の鏡は動くようになっていてこれがタンジェントに当たり、測距儀自体の長さと動く鏡の角度から三角関数を使って目標までの距離を求める。 - そして、測距儀自体の仰角からサインを使って高さを求める。
こうして敵の位置を把握して射撃するのだ。
- 測距儀の片方の鏡は45度で固定されていて、これは三角関数における90度の部分である。
- 対空射撃はただばら撒けばいいものではなく、当てる為に計算しなければならないことが非常に多い。
計算しなければならないのは、敵機の距離・移動方向・速度や、弾速・弾速に影響する大気密度の計算・艦の移動速度・縦揺れ横揺れの高さ・角度差etc...といった具合である。- 高射機は航空機を観測し、上記のようなデータを割り出すものだった。絵では各種カバーが省略されているが、内部にはいろいろ装備されていた。
- 特徴的な左右に突き出た4.5m測距儀は、敵機との距離を測るものである。
- 縦動揺眼鏡では水平線を観測し、艦の縦揺れを割り出す。
- 横動遥眼鏡も水平線を観測し、横揺れを割り出した。
- 俯仰眼鏡は計測する敵機の俯仰角を追尾、ハンドルで操作して高射機の角度を保持する。
- 旋回眼鏡では敵機の左右方向への移動を追尾し、ハンドル操作により高射機を旋回させた。
- もちろん一人じゃこんなものを全部計測できないので、一人ずつ操作手がついた。残りの二人は測距発信手と測距修正手である。
- 高射機は航空機を観測し、上記のようなデータを割り出すものだった。絵では各種カバーが省略されているが、内部にはいろいろ装備されていた。
- 九四式高射装置は操作が機械式であり、高射機は艦橋へ配置され、高射射撃盤は艦内の発令所に高射機と高射射撃盤が分離して配備された。
基本的には九一式高射装置をベースに操作性の悪さと性能向上を目指して開発されたものなので共通点も多い。- この装置の能力としては、本装置と八九式高角砲の組み合わせで「射程8000m以下で撃墜1機辺り高射砲150発が必要」という数字が算出されている。
その後は、九八式10糎高角砲や九八式8糎高角砲に対応したのも開発された。 - 得られた距離や角度のデータは、高射射撃盤と呼ばれるカム装置や歯車を精巧に組み合わせた機械式計算機によって処理された。
- 具体的には、高角砲がどの方向へ何度旋回し、俯仰し、何秒に信管を合わせるべきかといった数値を算出したのである。
さらに風力修正、自速修正、空気比重差、動揺修正なども数値に組み込んでなるべく正確に見越し位置を割り出したのであった。
- 具体的には、高角砲がどの方向へ何度旋回し、俯仰し、何秒に信管を合わせるべきかといった数値を算出したのである。
- この装置の能力としては、本装置と八九式高角砲の組み合わせで「射程8000m以下で撃墜1機辺り高射砲150発が必要」という数字が算出されている。
- 九一式では高射機(照準部分)と高射射撃盤の連絡や砲側への計算結果の伝達には伝令兵を用いる必要があったのだが、九四式ではセルシンモーターの採用により伝令兵が不要になり、計測結果と計算結果が通信機を介して直接伝えられた。
また、また、九四式では光学的計算装置が指揮装置に組み込まれたり、防震台の採用も行った。- 91式は完全な機械式アナログコンピュータ、94式は情報伝達に電気式を併用したアナログコンピュータであり*10、91式のような完全な機械式の場合は情報伝達に通信機や伝令を用いる必要があり時間がかかったが、94式ではある程度改善された。
- ちなみに、九一式では別々の目標を追っていた反省から測距儀と照準望遠鏡とが確実に同一目標を測的することができるようにした。
- 仰角機構には浮遊ジャイロを採用しており、垂直方向の安定性も向上した。
高射機には自動追従機能もあったが、これはMk37 GSCSと違いレーダーではなく自動的に針と針を一致させるという単純なモノ。
これによって高射機は九一式の11人から7人まで削減でき疲労軽減に役立ったとも。 - 一応開発者曰く、自動化により高射機側の要員を削除することを考えていたそうだが、軍曰く万一の為に要員は残されたとのこと。
後期型では量産向上の為に自動追従装置はオミットされた。 - 高射機の旋回駆動には水圧(開発者は油圧と証言)駆動を用いており、操作員は座ったまま操作できるようにした。
計算機には極座標系を用いており、上昇・下降をする目標に対しても捕捉が容易だった。当たり前だが対艦射撃もできる。
- 肝心の精度はアメリカ海軍の調査*11レポートによれば、計算誤差12分、信管調定秒時誤差0.02秒*12と高い精度を発揮していると意外と高評価であった。
また、計算機の機構的にはアメリカのMk1計算機に類似するという調査結果も載せられている。- しかしMk37GFCSなど他国の射撃装置と比較すると劣る部分があり、以下の欠点もあった。
- 距離などのデータは測距儀で観測者が目で測るため、目分量の個人差、測距儀自体の精度などで誤差が出ることが多く、レーダーによる自動追尾、自動照準があったMk37と比べるとどうしても誤差が出た。
- 機械式の歯車やカムには遊隙誤差*13が連合国の高射装置より大きく、どうしても命中率に悪影響を与えることもあった。
- 計測するための追尾時間も平均で20秒、計算に10~20秒程度。米軍の調査では特に遅いとは書かれておらず、奇襲でも受けない限り対空戦では十分に間に合った。
- また、高射装置全般において非常に複雑なため習熟には時間が必要だった。
そのため戦争後半の新兵が多い状況になると94式の自動追尾を使わないなどその性能を生かし切れないことが多かった。
- しかしMk37GFCSなど他国の射撃装置と比較すると劣る部分があり、以下の欠点もあった。
- とはいえ、これがあると無いとでは精度面で大きく違ったので多くの艦種で搭載され、少なくない敵機を撃墜し防空に貢献してるのも事実である。
- たとえば、秋月型を擁する第61駆逐隊の戦闘詳報においてはマリアナ海戦時の戦闘詳報において後部砲塔の高射装置の増設を求めている(秋月型の場合、高射装置一基で前後4門全ての砲塔を指揮していたのも考慮する必要があるが)
- ただし、機首を向けて高速でやってくる急降下爆撃は照準が難しく著しく苦手。こればっかりは日本に限らずどこの国の射撃装置も同じ傾向にあった。そのため、急降下に入られる前に有効弾を与えて撃墜・阻止するという考え方に至った。
- そして実戦では急降下を阻止することは難しいことが分かり、急降下爆撃機に対して複数の主砲や高角砲はそれぞれ照尺を固定*14し、信管を調整して有効射程内に侵入してきたら弾幕を浴びせるといった方法も各艦艇に取り入れられた。
- これは空母の高角砲でも同様で、飛龍によりミッドウェー海戦でも使用された。
- 南太平洋海戦の翔鶴において編み出された方法は、高射装置による射撃は対空戦闘開始時の最初の一発で雷撃機は回避と機銃にまかせた。
高角砲と機銃は急降下爆撃機に備えて担当する空域を予め決め、それぞれそこに砲を向けて砲弾の信管も1秒か2秒に事前にセット、担当する空域に降下する機体が見えたら砲側の判断で発砲を行った。
これを弾幕射法というといい、レイテ以降は標準対空射法として採用されて従来の高射器射法と使い分けられた。- 何故使い分けられたかというと弾幕射法のミソはあくまで「敵機が複数に分散し、異方向から急降下・襲撃してきた場合」に使うものと明記されている。これは高射器射撃では分火により複数方向への射撃自体はできたが、上述の通り急降下爆撃への対応は苦手だったからである。反面急降下爆撃はこちらに向かってくるので、照準時は機速や移動方向はほぼゼロにでき、見越し距離もほとんど考慮する必要が無いので砲側照準でも実用的な対空射撃が可能だった。なおこの弾幕射法は「指向第二」としても文献に記載されている。高射器射法の代替ではなく、あくまで特定の状況において対応できるようにする応急的な射法なのだ…
- レイテ沖海戦前後での一般的な対空戦闘では、敵の編隊が接近してきた場合主砲、高角砲、機銃は高射器射法により統制射撃を行い、敵編隊が分散して複数方向から急降下爆撃体制に入ってきた場合号令により弾幕射法に切り替えて主砲、高角砲、機銃は各自で担当空域の目標に砲側照準を行う。信管については予め距離ごとに決めた照尺を使って信管秒時の調整を行い、号令の下全ての砲銃はそれぞれ一斉射撃を行い、その後は各自で対空戦闘を行うことで漏斗状の弾幕を形成する。操艦は回避行動を務める。
- これとは別に敵編隊に対してそれぞれ火砲の信管を最大秒時に設定して主砲と高角砲で集中砲火する方法も使われた。
- 何故使い分けられたかというと弾幕射法のミソはあくまで「敵機が複数に分散し、異方向から急降下・襲撃してきた場合」に使うものと明記されている。これは高射器射撃では分火により複数方向への射撃自体はできたが、上述の通り急降下爆撃への対応は苦手だったからである。反面急降下爆撃はこちらに向かってくるので、照準時は機速や移動方向はほぼゼロにでき、見越し距離もほとんど考慮する必要が無いので砲側照準でも実用的な対空射撃が可能だった。なおこの弾幕射法は「指向第二」としても文献に記載されている。高射器射法の代替ではなく、あくまで特定の状況において対応できるようにする応急的な射法なのだ…
- エンガノ岬海戦の戦闘では伊勢が高射器射法を使用しており、戦闘詳報にて6000m~8000mの敵機に対しては高射器射法の使用が有効、6000m以内でも向首する目標であれば有効、状況次第では級梯照尺も有効(要するに階段状に散布。当然高射装置が必要な方法)と記載しており、高射装置の有効性を明確に記している。
- 大淀でも同じくエンガノ岬沖海戦時の戦訓では敵機の大群に対しては高射器射法で分火射撃を行っている。
- 結果として見れば日本海軍において大戦後半以降も高射器射法は一般的な射法として使われ続け、高射装置が不要となることはほぼ無かった。*15
- 坊ノ岬沖海戦では、戦艦大和の五番高角砲員の証言の中で『指揮所から指示が来ても対応できなくなり、そして指示自体が来なくなった。そうなると班長の命令で砲側照準を行い、とにかくやみくもに撃つしかなかった』とある。
- あくまで砲側照準は応急的な手段であり防空指揮所*16の指揮下で対空戦闘を行うことが基本であることが分かる。
さらに乙型駆逐艦である秋月型では一度も砲側照準を行わず、弾幕密度を上げる為に高射装置を使用して指揮所から統制射撃を行った。
- あくまで砲側照準は応急的な手段であり防空指揮所*16の指揮下で対空戦闘を行うことが基本であることが分かる。
- 同じような問題に当たった米国では、電子技術の進歩によって計算の高速・高精度化を推し進めたり*17、砲弾自体の高性能化(VT信管)*18、対空戦闘システムの進化(戦闘指揮所(CIC)コンセプトの導入等)、マニュアルの整備などで補っていた。
- 一方の日本では、基礎工業力や技術力の格差、思想の違い等で対空戦闘の進歩では劣勢を強いられることとなった。
- 勿論海軍自身もこの装置で満足しきったわけではなく、更なる改良を目指して後継の高射装置も開発していた(ただし制式採用には至っていない)し、その他試みは5500t型の防空艦化など多数あったのだが、劣勢を挽回するまでには至らなかった。
- なお、ある日本海軍士官が戦闘後に対空射撃は撃ちまくって弾幕を貼るべきだと主張したが、日本海軍においては射撃は一発必中だ、馬鹿野郎と返されたように日本海軍においては弾幕で妨害するという思想はなかった。
というのも、日本海軍においては弾幕による妨害ではなく敵機の撃墜が対空砲及び対空機銃の第一任務であり、機銃に関しては海軍のマニュアルにおいて『機銃戦ハ近距離ニ敵機ヲ捕捉撃墜シ以テ自艦ノ保全ヲ全ウスルト同時ニ敵機ヲ撃滅スルヲ以テ本旨トス』要するに生きて帰すなという指導がされているようにあくまで撃墜を重視していた。
陸上戦闘ではあるものの、『対空射撃ノ参考』においては当たらない銃撃は却って敵の行動を大胆にしたという結果が記されている。 - 前述の通り戦局の悪化により対空射撃戦法が代わり、弾幕射法が一般的な戦術になったのはレイテの頃である。
日本海軍においては対空戦闘法はあくまで戦闘機が主力であり、敵編隊を射撃で乱し、そこを戦闘機が攻撃するというものであった。
レイテ沖海戦の矢矧の戦闘詳報においても対空戦には限度があり、戦闘機による支援の必要性を説いていた。
戦争初期~中盤までならともかく、後半になると戦闘機隊の支援を受けれない、又は航空管制の不備により戦闘機隊との艦船の連携がうまくいかないケースが多かった。- アメリカ海軍においては艦隊の最外周から戦闘機、対空砲、中口径対空機関砲、対空機銃でのゾーンディフェンスであり、最外周の戦闘機が主力、戦闘機のCAPを突破した敵機を対空砲を撃墜することを求められている*19
アメリカ側のハリネズミ対策
- アメリカ海軍も末期になるとこのハリネズミのように対空兵器を搭載した軍艦に対応するため、爆撃や雷撃を繰り出す前に対空砲や対空機銃を無力化することを考えた。機銃掃射は事情が許す限り行われ、首尾線方向に行われた。これは日本に限らず大型艦艇などおける弱点でもあり防御の死角であった。駆逐艦や軽巡など艦首から艦尾まで中心線に沿って機銃を配備する艦はともかく、大型艦艇は爆撃に警戒して舷側に並べるため、対空機銃はこの方向には撃てなかった・撃てたとしても対応できる機銃は限定された。機銃掃射は対艦攻撃において一般的であり、例えば日本海軍でも艦艇上部を攻撃する艦上爆撃機は固定機銃が付いていた。しかし機銃掃射では効果が薄く、接近する危険性から3.5インチFFAR*20、5インチFFAR*21、ティニーティム*22と呼ばれる対艦ロケットやASM-N-2 BATという初歩的な対艦誘導爆弾を開発・投入した。
- 3.5インチFFARは初速が358m/sと速くて命中率が良かった半面、元々対潜用なので弾頭が小さく水上艦艇に対しては威力が低かった。その欠点を改善するために5インチFFARやティニーティムを開発したのだが、これらは威力が高かった半面、初速がそれぞれ216m/s、245m/sと初速が遅かった。5インチはこれら初速の遅さは海軍でも問題視され、高初速のHVARが開発された。ティニーティムで炸薬が500ポンド爆弾並と威力が高かった。しかし、対空兵器の射程外から撃てるよう要求があったが、最大射程では3.5インチFFARや5インチFFARとあまり変わらない1500mだった。配備は沖縄の戦いの最中と遅く、日本海軍の水上艦はほとんど活動していなかったので軍艦に向けて撃った記録は無い。
これらロケットは対水上艦艇においてイマイチ活躍の場が無かったが、対空砲座への対抗手段としてはそこそこのモノで、貫通力自体も対艦用途としてはまずまずだった。那智、及び大淀での戦闘詳報にはロケット弾による攻撃により25mm装甲部が貫通したとある。また、それでも雷撃や急降下爆撃、機銃掃射と比べれば遠距離から攻撃できたし、機銃掃射と比較すれば効果的に制圧効果が高くて当たれば大きなダメージを与えれた。日本側の対策は主に機銃掃射による死傷者が多かった為、対空機銃座付近に防弾板や衣嚢で防御物を作り、機銃弾や爆弾片から身を守った。
これらロケットの命中率の低さに関してはロケットの常の弾幕でカバーする。3インチを始めとした対艦ロケットは1943年~1944年あたりから使用を開始した。実際にこれらロケットを受けた歴戦の乗組員達は、米軍がロケットを実戦投入した末期ではかつてのようにアメリカ機は積極的に接近してこなくなったと証言している。しかし米側からすれば結果としてやはり命中率の悪さや威力の低さもあり顕著に活躍したのは地上攻撃や輸送船団攻撃くらいであった。機銃掃射や急降下爆撃や雷撃と比較すれば比較的遠距離から発射できたのでその意義は大きかった。 一応日本でもロケット弾である三式一番二八号爆弾が芙蓉部隊や九〇一空で対艦攻撃に用いられていたが、戦果は不明。 - 初の誘導弾であるASM-N-2 BATは欠点が多く、使用用途非常に狭かった上に、さらに投入された時期が沖縄戦後と遅かった。このころになると日本海軍艦艇もほとんど活動していなかったが、BATを搭載したPB4Yが朝鮮海峡で海防艦粟国の艦首に命中させて大破に追い込んだのが唯一の戦果であった。欠点が多く活躍の場が無かったが、初めて実用的な対艦ミサイルを開発した技術的な意義は大きかった。
- 3.5インチFFARは初速が358m/sと速くて命中率が良かった半面、元々対潜用なので弾頭が小さく水上艦艇に対しては威力が低かった。その欠点を改善するために5インチFFARやティニーティムを開発したのだが、これらは威力が高かった半面、初速がそれぞれ216m/s、245m/sと初速が遅かった。5インチはこれら初速の遅さは海軍でも問題視され、高初速のHVARが開発された。ティニーティムで炸薬が500ポンド爆弾並と威力が高かった。しかし、対空兵器の射程外から撃てるよう要求があったが、最大射程では3.5インチFFARや5インチFFARとあまり変わらない1500mだった。配備は沖縄の戦いの最中と遅く、日本海軍の水上艦はほとんど活動していなかったので軍艦に向けて撃った記録は無い。
- アメリカ海軍も末期になるとこのハリネズミのように対空兵器を搭載した軍艦に対応するため、爆撃や雷撃を繰り出す前に対空砲や対空機銃を無力化することを考えた。機銃掃射は事情が許す限り行われ、首尾線方向に行われた。これは日本に限らず大型艦艇などおける弱点でもあり防御の死角であった。駆逐艦や軽巡など艦首から艦尾まで中心線に沿って機銃を配備する艦はともかく、大型艦艇は爆撃に警戒して舷側に並べるため、対空機銃はこの方向には撃てなかった・撃てたとしても対応できる機銃は限定された。機銃掃射は対艦攻撃において一般的であり、例えば日本海軍でも艦艇上部を攻撃する艦上爆撃機は固定機銃が付いていた。しかし機銃掃射では効果が薄く、接近する危険性から3.5インチFFAR*20、5インチFFAR*21、ティニーティム*22と呼ばれる対艦ロケットやASM-N-2 BATという初歩的な対艦誘導爆弾を開発・投入した。
- アメリカ海軍においては艦隊の最外周から戦闘機、対空砲、中口径対空機関砲、対空機銃でのゾーンディフェンスであり、最外周の戦闘機が主力、戦闘機のCAPを突破した敵機を対空砲を撃墜することを求められている*19
- 一方の日本では、基礎工業力や技術力の格差、思想の違い等で対空戦闘の進歩では劣勢を強いられることとなった。
- 攻撃阻止を念頭に置くことが対空射撃なので、世界的に見ても艦艇における対空戦闘は対空射撃をしつつ回避機動を取るのが一般的だし、それが有効だった。ただ回避運動のため旋回中は艦が傾斜し、砲が旋回できず傾斜が15度を超えると機銃も旋回できないため回避機動中は対空射撃が困難になる。日本においては海軍1とうたわれた操艦の名手森下艦長の大和は対空砲火をしつつ回避に重点を置き、一方砲術の権威であった猪口艦長の武蔵は回避を最小限にし、対空砲火による防御をはかった。結果としては大和は生還し、武蔵はシブヤン海に沈んだ。(もっとも、武蔵自身も雷撃の被弾により浸水と注水により回避機動が難しかった面もあるが。)
- また詳しくは伊勢、日向の小ネタ参照してほしいが両艦の艦長は松田千秋少将(四航戦司令官)作成「爆撃回避法」を有効に活用した結果レイテより生還した。
- 特に艦船において回避機動ができない停泊中に狙われると危険だった。タラント空襲、真珠湾攻撃、トラック島空襲、呉空襲がそれにあたる。やはり回避が大事である。では対空射撃が不要かと言えばそうではない。有効な対空射撃があってこそ初めて回避機動が有効になるのである。
- 気になる生産台数は終戦まで80基。精密機構のため製造の手間がかかる上に非常に高価なため当時の日本では量産することができなかった。*23
- 代わりにたくさん作ったのが4式高射射撃装置。だがこれは95式高射射撃装置の後継で本来は機銃用だが、一応簡易的ながら高角砲にも対応しており、陸上における補助指揮装置や艦上での短距離指揮装置としても使えた。
ただし四式高射射撃装置は構造的にLPR式照準器を利用した高射射撃装置であり、簡易的な計算機にデータを入力し、そこから見越し点を導き出すので大がかりかつ本格的な計算機能を持つ九四式高射装置と比較すれば性能で劣ったが、量産が効き比較的小型だったので艦上用の一型と二型が松型駆逐艦や信濃、後付けで涼月等の大小問わない様々な艦艇に高角砲用・機銃用高射装置としてこれを搭載・増設した。他にも陸上用の三型、噴進砲用の四型があった。九五式との違いは旋回が手動になったこと0.5馬力のトルク増幅器の装備、対LOGカムを廃止して円筒曲線を採用した点である。意外にも用兵側には好評であった。
この他に海軍電気技術史に出てくる実在したか不明の5式高射装置や、米海軍の調査報告書にのみ登場する三式艦上用高射装置(調査報告書曰く未完成だったとか、レーダー射撃可能だと書かれている)があるが、裏付けがまったく取れていない。
- 代わりにたくさん作ったのが4式高射射撃装置。だがこれは95式高射射撃装置の後継で本来は機銃用だが、一応簡易的ながら高角砲にも対応しており、陸上における補助指揮装置や艦上での短距離指揮装置としても使えた。
- で、例によってこの手のミドルウェア的装備の常で陸軍の方が開発に熱心だった。
陸軍の高射装置は基本的に固定された砲台の為のモノであり、海軍のそれと直接比較するのはナンセンスな面もあるのだが……陸軍の高射装置
- 海軍がロクに改修もできないのを尻目に昭和17年にはレーダー測距による二式高射算定具を制式化している。もっとも信頼性や精度に問題があったのか、末期に再び光学式に戻そうとしているが……
また牽引対空砲でも使う関係上海軍のように常に訓練されたプロフェッショナルが同乗しているという前提は取れないため、扱いやすさも重視されたようである。 - 大量の陸用高射装置が必要となった海軍は陸軍が審査中の高射装置を協定に基づき採用、九五式陸用高射装置として制式化する。
しかしコレ、アメリカのスペリー社とイギリスのヴィッカース社の機構を組み合わせたもので、生産性劣悪の上に故障頻発と期待を裏切らない結果になり、一応陸軍でも九七式高射算定具として制式化はされたものの……「フライス盤で部品を製造できる! 九〇式より高精度で生産性も向上だ」
→「え、フライス盤の歯車じゃ精度が確保できない? 結局手作業で仕上げるしかないって?」
→「国産のステッピングモーター故障しすぎワロタ……ワロタ……」
→「この非常時にやってられるかぁぁぁぁ!! 九〇式に戻るぞ!!」
- ってなことで陸軍は100台ほど作ったところで目が覚めた。
- 九〇式とは九〇式高射算定具のことで、日本高射砲史の開祖にあたる11年式七糎野戦高射砲とともに開発された11年式高射照準具、この改良型八八式高射照準具を経て、
大隊でシステマティックに運用することを考え、電気統制射撃板の運用を前提に開発された。海軍何やってんの?
この九〇式は採用当初こそ電気回路に不適当な機構があり故障が頻発したが、九七式がどうもダメっぽいということで改修されて再生産されることになった。
11年式以来の陸軍の高射装置は陸軍の多田駿大尉*24が考案した日本独自の物だった。
以降、レーダー連動の二式、B-29を脅し続けた四式と陸軍の高射装置は11年式の発展型に終始する。
基本設計が11年式以来のものなのでよく「日本軍の高射砲は第一次世界大戦レベル」という評価につながっているが、九〇式の精度そのものは充分だったし、何より大量生産できた。
- 海軍がロクに改修もできないのを尻目に昭和17年にはレーダー測距による二式高射算定具を制式化している。もっとも信頼性や精度に問題があったのか、末期に再び光学式に戻そうとしているが……
敢えて突っ込むなら「暁の素索敵の価値は吹雪の素対空や対潜の程度の価値しかない」から結局能力的にはドングリで装備の差で育成価値(つまり利用頻度)に差がついてるのは揺るがん -- 2024-12-17 (火) 12:27:39