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Cached: 2025-07-21 08:24:51 Last-modified: 2025-07-20 (日) 13:37:26

作ってみよう

なにはともあれ、作りたくなったら作ってみましょう。
最初は下手でも良いんです。みんな、そんなものです。
ここからは1/700ウォーターラインシリーズを作ると仮定して書きますが、その他のシリーズやスケールでも基本は一緒です。

『部品を確認する』

まず、買ってきた製品の部品を確認します。
ここで万が一、説明書を読んで必要な部品が足りない場合は、買ったお店やメーカーに問い合わせしてください。
ショップによっては購入前に開封して部品のチェックを行える場合もあります(組み立てを開始してからでは、対応して貰えないこともあります)。

また、組み立てで使用しない不要部品もここでチェックしておくと良いでしょう。
※不要部品はバリエーション展開などで、同型艦や別の時代設定の商品がある場合に多いです。

部品が一通り揃っていることを確認したら、次へ進みます。

『部品の洗浄』

プラモデルの製造過程において、金型に塗られる離型剤(型から部品を外しやすくする油類)がプラモデルの表面に残る場合があります。
この離型剤が残っていると、塗装時に塗料が弾かれ、塗装が難しい場合があります。
そんなときは、組み立て前に部品を洗浄します。
具体的には、適当な大きさの容器にぬるま湯を張り、その中に適量台所用洗剤(ジョイ・キュキュットなど)を入れ、古歯ブラシで部品の表面を軽くこすっていき、最後によく流水で濯いで乾かします。

最近の国産キットはこの離型剤の残りが少なく、洗浄すると破損しそうな細かい部品も多くなりましたので、洗浄工程を行わずに組み立てる事も多くなりましたが、組み立て中や塗装前に適宜洗浄をすると、作業中の削りカスなどが洗い流せ、より綺麗な仕上がりになります。
全てのキット、特に海外製キットは可能な限り*1洗ってあげた方がよい場合が多いです。

『組み立てる』

では、説明書に従って組み立てていきましょう。

ニッパーで部品を切り出し、ゲート跡を処理します。
慣れない内は説明書の組み立て順序通りに組んでいくのをオススメします。
使った部品は、説明書に直接チェックを付けると、組み忘れを防げます。

また、艦船模型は他のプラモデルと比べて細かい部品が多いので、無くさないように注意しましょう。
塗料皿のような小皿に、切り出した部品を入れておくと、紛失を防ぐことが出来ます。

接着剤を付けて組み立てる前に、一度部品同士を合わせてみて、部品同士を接着するにあたって問題が無いかを確かめてみましょう(これを仮組みと言います)。
問題があるようならば、ヤスリなどで適宜調整し、組み立てていきます。

『塗装をする』

スケールモデルは塗装を前提に作られています。
未塗装でもそれなりに見栄えはしますが、塗装をすることで見栄えが大きく向上します。

塗装順序は、大きく分けて二種類あります。

1,ある程度部品を組み上げてから塗装する。
たとえば船体、艦橋など、同じ色の部分はある程度完成させてから塗装をする方法です。

利点は、塗り分けが比較的容易であること。
欠点は、接着剤のはみ出しで塗装面を汚す可能性があること。でしょうか。
艦船模型は複雑に入り組んだ部分が多いので、艦の大小にかかわらず、この方法で塗装するのが一般的です。

2,すべての部品を組み上げてから塗装する。
船体の組み立てに必要な箇所を、組み立てた上で塗装する方法です。
甲板などに塗り分ける部分がない(または少ない)場合に、特に有効です。

利点は、綺麗な塗装面が期待できる。
欠点は、細部の塗り分けが難しい。と言ったところです。
塗り分けの少ない駆潜艇や、タグボートなどに便利です。

1,の手法の場合、塗装した各部を組み合わせれば完成となります。

 

『マスキングについて』
艦船模型の塗装で避けて通れないのがマスキング。
マスキングとは塗料を塗りわけるために、紙テープや粘着シートを使って塗料が付かないように覆い隠すことです。
なんだかめんどくさそう・・・と思われがちですが、実は艦船模型のマスキングはそれほど難易度が高くありません。塗る順番さえ気をつければとても簡単です。

 

『マスキングの順番』
艦船模型の塗装には順番があります。
これを間違うととても面倒になり、製作を投げてしまう要因になりかねません。
基本的にはマスキングは小さな面積から塗ってマスクします(マスク面積が小さくて済む由)。
以下一例としてあげておきます。あくまで一例なのでキットの形状によっては順序を前後したほうが良い場合があります。

 

(1)煙突の先端の黒…煙突を組み上げて、船体に取り付ける前に煙突の上半分を黒くスプレーし、説明書を見ながら黒く残す部分にテープでマスキングしておきます。
(2)甲板色…次に甲板を塗ります。艦橋、煙突、砲塔、マストなどを付ける前に甲板色を吹くとマスキングなしで気楽に吹けるので楽です。模型が茶色に染まっても気にしません。これはリノリウムでも木甲板でも同じです。24時間程度乾燥させたら甲板色を残す部分にマスキングテープを貼りこみますが、ここで甲板上の細かいパーツごとマスクするのがミソ。外舷色で塗る部分だけ露出するようにマスキングで覆っておきます。
(3)艦底色…甲板がマスクされた状態で艦底色を吹きます。今度は模型が真っ赤になりますが気にする必要はありません。
(4)外舷色…艦底色塗装後24時間程度乾燥させて、艦底色を残す部分を1本のマスキングテープで(少なくとも片舷は)一気にズバッと覆います。継ぎ足しは事故の元ですので足りないときはやり直しましょう。フルハルモデルは全部をテープで覆うと大変なので、境目だけマスキングテープできちっと押さえたら下半分は新聞紙などで簡単に覆って養生しておきます。
ウォーターラインでは1mmほどですがまっすぐ歪まないようにテープを貼り、良く押さえておきます。
甲板、艦底にマスキングテープが貼ってあったら準備完了。外舷色(軍艦色とも言います)をスプレーしましょう。煙突、艦橋、砲塔なども軍艦色を吹いておきます。
(5)タッチアップ…色を塗り終えたら10分ほど乾かしてテープを全てはがします。細かいパーツが多いのでそーっとはがしましょう。甲板の上は色々塗り間違ってるはずですが、面相筆に溶剤をつけて筆をしめらせたら外舷色(軍艦色)を少量すくって乗せるように塗ります。説明書の塗装指示を見ながら間違い探しでもやるつもりで塗ると楽しめます。軍艦にはこのほか防水布や航海灯など色指定がありますが、どれも面積が小さいので筆塗りでささっと塗ってしまうとお手軽です。
はみ出て甲板が汚れたら甲板色を筆で塗り直してやればよいので気負う必要はありません。
筆塗りの刷毛ムラが出たら無理に直そうとせず、一度乾かしてください。
乾いたあとで筆で塗り重ねていくと綺麗に仕上がります。タッチアップが終わったら最後に煙突、艦橋、砲塔、マストなどを組みつけます。

 
『マスキング上級編:迷彩塗装1』

『マスキング上級編:迷彩塗装1』
こちらでは上級編ということでエアブラシ塗装ができることを前提にご説明いたします。
瑞鶴や瑞鳳、ちとちよなどに施される迷彩塗装・・・なかなか難易度が高い技ですが、慣れてきたらトライしてみると面白いです。
上記空母の迷彩には先に飛行甲板に暗緑色を全体的に吹くのが良いでしょう。
暗緑色の複雑な幾何学的パターンはアウトラインをマスクするよりパターンそのものをマスクするほうが簡単で確実だからです。
暗緑色のマスキングが終わったら外舷21号(暗い緑)を吹いてマスキングを重ね、次に外舷22号(明るい緑)を吹いてマスキングし、最後にデッキタンもしくは灰緑色を塗ります。
なにせ不鮮明なモノクロ写真しか残っていませんから現在手に入るカラー資料はほぼすべてが『想像図』です。
『多少間違っても気にしない』のが心豊かに製作するコツといえましょう(笑)。

通常塗装のセオリーは『明るい色から暗い色』ですが、スケールモデルなどでは『暗い色から明るい色』を塗ったほうが重厚でリアリティのある色味になると好むモデラーが多いです。

小スケール(1/700など)を製作する場合は、吹き重ねで色が沈むのを見越して予め少し明るめに調色しておくとスケール感が生まれます(空気遠近法を用いたスケール感の表現)。

 
『マスキング上級編:迷彩塗装2』

『マスキング上級編:迷彩塗装2』
艦これでも増えてきた海外艦に施されたバルチックスキームや、戦争末期に戦艦・巡洋艦に施されたダズル迷彩。
艦船模型のマスキング塗装では最難関ともいえるこれらの迷彩塗装ですが、完成時の見栄えはその手間に十分見合ったものになるでしょう。

 

バルチックスキーム塗装:
ドイツ艦に施された迷彩として知られるのがバルチックスキームと呼ばれる迷彩。この迷彩にはいくつかパターンがありますが、舷側に白とチャコールグレイで直線的に入れられたラインが大きな特徴といえます。
模型で再現するにあたってはこのラインがクセ者で、時期によっては艦橋や煙突にまでラインが伸びているものもあって、これをどうやって塗装するのかモデラーを悩ませる要因ともなっております。

具体的な塗装の順番としては艦底色と甲板色を塗って艦底と甲板のマスキングをしたら基本的なエッチングパーツなどを取り付け、上部構造物は接着せずに(ココ重要)ベース色として白を吹きます。
マスキングの項の最初に説明したようにマスク範囲が小さいものが先、というのはマスキングの基本です。

白が乾燥したら構造物を仮組みして細いマスキングテープを貼っていきます。
エッチングパーツへのマスキングテープの貼り付けは、押さえて密着させようなどとは考えずにふわっと載せるだけで結構です。(最低限エアブラシの風で飛ばないようにエッチングパーツから外れたところでテープを密着しておく必要はありますが)
どうしてもマスキングテープを貼るのも剥がすのも怖い、という方は後で筆でタッチアップすれば良いだけなので、無理にエッチングパーツを取り付けなくても構いません。
このとき真横から見たときに迷彩がまっすぐになるようにテープのつながりを納得いくまで調整しましょう。ここを適当にしてしまうと完成時にガタガタと白線が歪んでしまって締まらないものになってしまいます。
白部分のマスキングが終わったら各部を分解して次はチャコールグレイを吹き、完全乾燥後チャコールグレイ部をマスキングします。ドイツ艦は現用艦と同様に吃水ラインに黒のラインが入りますのでご留意を(ここは最後に入れても構いません)。

チャコールグレイ(黒)部分がマスクできたら最後に外舷色(軍艦色)を吹きます。

軍艦色が概ね乾いたところですべてのマスキングテープを剥がし、最後の仮組みをしてラインが繋がっていることを確認してから構造物を接着します(繋がってない場合や吹きこぼしがある場合はこの段階でタッチアップしましょう)。
構造物を組み立てる時には、せっかくの塗装を傷めないように速乾タイプの流し込み接着剤(クレオスのセメントSやタミヤ流し込み接着剤速乾タイプなど)を使用するとよいでしょう。
接着時にエッチングパーツを壊さないようにご注意。

なお、この上記の手法は木曾・多摩・睦月などの北方迷彩にも有効です。

 

ダズル迷彩塗装:
形をわかりにくくすることで方向などを幻惑させる(dazzle:目がチカチカする)迷彩として知られるのがダズル迷彩。
艦これでは榛名の1番・2番砲に施されたものが有名です。
これもベースは白からスタートします。
市販の細切りマスキングテープなどで白線部分をマスクしていきますが、このときマスキングテープの間隔を揃えるのがコツ。まっすぐあるべきところはまっすぐにしておかないと残念な結果になりますのでご注意を(ただし実際の榛名の砲塔は側面がテーパー状になっていて、完全に平行ラインにはなっていません)。
なお、戦後の写真とカラーフィルムから実際のダズル砲には2番のバーベット(砲の台座)の左舷側と1番2番の各砲身にも白線が入っていることが確認できます。

 

雲形迷彩塗装:
重巡妙高や伊勢型戦艦、戦艦長門の最終時に施された迷彩パターン。こちらは意外と簡単で柄の色を吹いたらマスキングシートをフリーハンドで切り抜いて模型にぺたぺた貼って地色を吹き重ねればOK。
妙高のように3色以上使用する場合でも柄色を塗って最後に地の色(妙高だと白でしょうか)と順番になります。
航空機や戦車と違ってボケ足はありませんので単純にマスキングテープを貼るだけでよいでしょう。


*1 ブラシでこすらず、薄めた中性洗剤で漬け置きして水でザッと流すだけでも