主なメーカー
国内で軍艦のプラモデルを発売しているメーカーを紹介します。
ガレージキットのみのメーカーや、海外メーカーは割愛します。
『タミヤ』
1/700ウォーターライン(WL)シリーズ、1/350艦船を発売しています。小スケールのものは省略は多いものの全体的に部品がシャープで合いの精度が良く、初心者にも比較的作りやすいのが特徴です。
数年おきに新作か発売されるので模型誌やカタログをチェックするのが良いでしょう(最新作は島風・2017年7月発売・リニューアル&完全新金型)現在は1/700よりも1/350に力を入れているようです。
1/350のキットはどれも評価が高く、特にリニューアル版の1/350大和は大和の模型の中で最高の出来と言えるでしょう。ただし部品が信じられない程多い上に、エッチングなども使う前提の部分があるため、主に根気的な面で入門者がいきなり手を出すのは若干危険なキットと言えます。
ちなみにリニューアル以前の1/350大和、武蔵も考証は古いもののスタイルは良く、新版の1/3程のお値段で買え部品数も(1/350にしては)抑え目なため、おすすめキットと言えるでしょう。
なお、タミヤのプラモデルには同社の塗料の番号しか記載されていません。他社の塗料を用いる場合は注意してください。
『ハセガワ』
1/700ウォーターラインシリーズ(WL)、1/350、1/450有名艦船シリーズを発売しています。
近年1/700スケールのリニューアルが活発で、ハイディティールな良い出来のキットが生み出されています。半面、部品数が増えたために少々組みにくいものもあり、初心者の方は注意が必要です。
リニューアル版1/700赤城はフジミ製赤城と双璧を成す好キットと評判です。その他にも古鷹型や青葉型は比較的近年にリニューアルされ、艦これブーム後は天龍型や夕雲型、朝潮型がリニューアルされました。
1/350スケールにも力を入れており、赤城は極めて評価の高いキットです。
国産メーカーで唯一1/450スケールのキットを発売しており、リニューアル発売された大和は手ごろな価格と組みやすい内容で評判のようです。
数量限定であまり多く出回らないのがネックですが、同社製1/700WLキットに艦底と展示台、エッチングやメタルパーツを追加した豪華版「フルハルスペシャル」シリーズがたまに出るため、フルハルで作りたい方の需要にも応えています。ただし追加パーツによりお値段はかなり高め。
現在までに赤城、伊勢型、妙高型、青葉型、古鷹型がフルハルスペシャルでリリースされています。
なお同社は”飛行機のハセガワ”の異名を持つ航空機を得意とするメーカーで、艦これに登場する航空機も1/72、1/48などのスケールで、零戦各型を始め、九七式艦攻や天山、流星、震電など、多数リリースされています(もちろん他社からも艦これ登場機は出ています)。
ただし、烈風・彗星・景雲・九六艦戦・カ号・東海(ファインモールド 1/72または1/48)と紫雲改二(アオシマ 1/72)、瑞雲・月光・九八水偵(フジミ 1/72)、月光・晴嵐・Swordfish・南山(タミヤ 1/48 ※南山は1/72)、Ar196・Ro.43/44・Re.2001/2005・Laté298・OS2U・PBY-5・Skua(海外メーカー)はここの製品に無いけどな。
『青島文化教材社(アオシマ)』
1/700ウォーターラインシリーズ(WL)、1/700 艦船(フルハルモデル)シリーズ、1/350アイアンクラッドシリーズを発売しています。
WLシリーズ3社の中で、最も積極的に商品開発をしている企業です。
ついに1/700WLの不文律を破り、大和。武蔵に参戦!(WLではなくフルハルではありますが)
これにより1/700の大和はタミヤ、フジミ、アオシマ、ピットロードが激突する鉄底海峡と化したのであった…。
また、特に海自艦艇キットにおいてぶっ飛んだ箱絵や小物を付属するなど狂犬アオシマの名は伊達じゃない注目を集めています。
1/700においては多くのキットのリニューアルが完了しており、作りやすさ、ディティールの両方をそなえたキットが多いです。
ただし、アオシマは昔から説明書のミスが多い事で有名です。空母蒼龍や雲龍(※あくまで旧版の話です)の飛行甲板を茶色、エレベーターを黄色指定したのは、モデラーの間で伝説となっているほど。
最近は大分改善されていますが、一応注意してください。
なおアオシマは艦これ商品開発ページとして「アオシマ鎮守府」を開設し、艦これとWL三社によるコラボキットの開発を進め、2017年までに、シリーズNo.38に達する艦これキットを発売しています。
基本的には通常のWLキットにオリジナルシール・艦娘カード・エッチングネームプレートが付属という形式のもので、自社製品は艦これ版の箱に、他社製品は通常のWLキット箱を艦これ版特別スリーブで包んだものとなっています。
陸奥に関してはなんと甲板の軌道形状を陸奥専用の物にした新規金型で製造されており、通常のWLを再現度で上回ることに。
また、軽空母千歳を始めとして給糧艦間宮や軽空母龍驤、揚陸艦あきつ丸、給油艦速吸、重雷装巡洋艦大井改、水上機母艦秋津洲、潜水母艦大鯨、工作艦明石に至っては完全新規開発キットという豪華な物になりました。
(詳しくは 1/700 艦隊これくしょんプラモデルシリーズの項目を参照のこと)
しかし、2017年のNo.38「艦娘 航空母艦 アークロイヤル」発売以降、シリーズは継続しておらず、2021年現在ではアオシマ公式サイトの商品検索からも1/700「艦これ」プラモデルはすべて削除されています…。
また艦隊プラモとは別に艦これの痛車プラモも発売しています。(車種は1/24 SUBARU GRBインプレッサWRX STI 5door'10)
『フジミ模型(フジミ)』
1/700特シリーズ、1/700戦艦モデルシリーズ、1/700帝国海軍シリーズ、艦NEXTシリーズ、1/350艦船モデルシリーズ、1/500艦船モデルシリーズ、1/3000集める軍港シリーズ、ちび丸艦隊シリーズを発売しています。
当初フジミは”1/700ウォーターラインシリーズ(WL)4社”の一角でしたが、訳あってWLシリーズを脱退、以降はシーウェイモデルシリーズとして独立しています。
2000年頃からは積極的に商品開発を進めており、1/700においてはWLシリーズのシェアを奪いつつあります。
全体的に説明書の表示が分かりづらい事があるため、場合によっては資料などを確認しつつ組み立てる必要もあります。
- 1/700特シリーズ
ウォーターライン(WL)シリーズを凌駕する超絶ディティールによる再現がなされており、
素組でもかなりの出来に仕上がりますが、その分部品数が多く難易度は高いです。
しかしシーウェイモデル(=旧WLシリーズ)時代のキットに特シリーズに番号を振り直しただけの物も有り、
一概に「特シリーズは全て超絶ディティール」というわけではありませんので、注意が必要です。
精密さに関してはWLシリーズと同様に”1990年代以降にリニューアルor新規開発されているか”がポイントになるでしょう。 - 1/700特EASYシリーズ
1/700特シリーズをシールと成型色だけで色分けできるように仕様変更したキットです。瑞鶴や雲龍のキットは迷彩を再現するために色違いの同一ランナーをセットにして色分けを再現したりと、手軽に迷彩状態を楽しめるようになっています。
ただし、『EASY』という名前はついているものの、特シリーズならではの超絶ディティールのキットであることには変わりないので、難易度は高めです。
腕に自信はあるけれども、塗装の手間を省きたい方にはお勧めかもしれません。 - 1/700帝国海軍シリーズ
1/700では珍しいフルハルモデル(船底付き)のキットです。
内容は同社特シリーズに艦底パーツと展示台を追加したものであるため、追加されたパーツ以外は基本的に特シリーズと全く同じキットです。 - 1/350艦船モデルシリーズ
2000年以降に多数の艦が製品化され、高い評価を受けているキットが多いです。 - ちび丸艦隊シリーズ
他のシリーズと違い、艦船をそのまま再現したものではなく特徴をディフォルメしたキットです。「艦船版SDガンダム」と考えるとわかりやすい。
対象年齢が低いこともあって、艦船キットでは珍しくスナップフィットキット(接着剤なしでも作れるはめ込み式)なので組みやすく、
甲板等もシールによる色分けがされているため、プラモはガンプラしか組んだこと無いという人でも手が出しやすいので、入門用としてお勧めです。 - 艦NEXTシリーズ
ガンプラ並みの多色成形、スナップフィットの精密模型で塗装不要・接着不要、ニッパー1本で色分けされた艦船モデルが完成するという、次世代の艦船プラモデルとして注目を浴びています。
多少、他の1/700キットより値は張りますが、塗料を全く買わなくても良いと思えば意外と値段的な差は無いかもしれません。
NEXTシリーズ自体は1/700艦船に限定されたものではなく、1/350艦船や1/24乗用車キットもリリースされています。
キャラクター物として、アニメ『ハイスクール・フリート』に登場した架空の陽炎型駆逐艦『晴風』を始めとした1/700スケールのキットが発売されました。 - 1/3000 集める軍港シリーズ
かつて発売されていたシリーズの復刻ですが、完全新金型になっています。
最新の金型で軍港、および関連した艦船を再現。気軽に工廠のジオラマを楽しめる製品です。
『ピットロード』
1/700、1/350のキットを発売していますが、1/350は海自護衛艦が中心です。
昔から高品質、高価格で売ってきたのでウォーターラインと比べると割高なキットが多いですが、
ウォータライン各社が商品化しないようなマイナー艦や、外国艦、護衛艦、海保艦類を多く発売している他、
駆逐艦のキットにおいては品質、種類において他社を圧倒していました。
なお、海外艦のキットは大半が中国のトランぺッター社との共同開発で、製造も中国で行われています。
最新キットは1/700陽炎(竣工時)です。同社オリジナルではなく設計製造ともフライホーク社で、
これまでのピットロード/トランペッターのモデルとは一線を画す造りとなっています。その分更にお高いけど
また、同社オリジナルの塗料(後述 塗料について参照)や各種装備品パーツも昔から数多く発売しており、
近年リニューアルされた装備品セット、NEシリーズは、ナノ・ドレッドシリーズに迫る繊細な装備品パーツとして注目を集めています。
『ファインモールド』
艦船模型は1/350の特型駆逐艦を始め、1/72甲標的なども発売しています。
特筆すべきは1/700 1/350共に、最先端のプラ射出成形技術を導入した高精度の装備品パーツ、ナノ・ドレッドシリーズで、
今まではエッチングパーツを使うことでしか再現できなかった、正確なスケールの機銃などが発売されています。
ただし相当細かな物で、上級者向けのパーツセットになります。
なお、同社は比較的マイナーな旧日本軍の航空機や戦闘車両の販売をしていることが有名です。
価格は高めですが、その分考証性の高さは抜きんでています。
余談ですが旧帝国陸軍戦車のラインナップが非常に充実しており、ゲーム中に登場した八九式中戦車や九五式軽戦車(ハ号)、九七式中戦車改(チハ改)のキットはこのメーカーだけで全て揃えることが出来ます。ガルパンファンにもおすすめ!
『シールズモデル(フォーサイト)』
艦船模型は1/700の三景艦や戦艦三笠など、日清・日露戦争当時の連合艦隊艦が中心で、二次大戦の物としては1/350で駆潜特務艇 第1号型を発売するなど、マニアックな商品ラインナップが魅力です。
製品も質が良く、メリハリの効いたモールドが特徴で、明治期の連合艦隊を再現するには欠かせないメーカーと言えます。
『マイクロエース(アリイ)』
現在は鉄道模型の販売が主流ですが、プラモデルも各種発売しています。
軍艦のプラモでは、1/250大和型、1/400(戦後バージョンのニュージャージー、ビスマルク級、原子力空母エンタープライズ)、1/600(大和型と戦後バージョンのアイオワ級)、1/700(戦後のアメリカ駆逐艦と潜水艦)、1/800(戦後のアメリカ空母)があります。
いずれもオオタキ製作所等の古い金型を引き取って再販しているもので、比較的安価ですがバリ・ヒケなど状態が悪いものが多いのが難点。なお、1/600は今では珍しくなったモーターライズ仕様です。
『童友社』
プラモデルでは城郭模型や甲冑模型がメインですが、翼コレクションなどに代表される戦闘機も製品化に力を入れています。
しかし何と言っても1/250「大和」「武蔵」「信濃」が一際目を引きます。
他にも1/300 伊400、1/150 Uボートなどもプラモ化されています。
また海外メーカーのミリタリーモデルの輸入販売を手掛けており、『1/700スケール 世界の潜水艦シリーズ』は中国ホビーボス、『凄!プラモデルシリーズ』は韓国アカデミー科学のOEM製品となっています。
『トミーテック』
技ミックスブランドで1/700大和、同艦ディティールアップパーツ、港湾施設等を発売しています。
他のメーカーと決定的に異なる点は塗装済みのIRコントロールモデルである事でしょうか。
最新考証による設計である事と、主砲、副砲、高角砲、測距儀の自動回転ギミックは一見の価値ありです。
お値段もそれなりにしますが。
大和発売と同時にリリースされた母港小物類は未塗装仕様も発売されています。
『ヤマシタホビー』
1/700スケールで、精密な15.5cm三連装砲塔や20.3cm連装砲などのディテールアップパーツを発売しています。
2015年からは、1/700スケールで吹雪型駆逐艦のフルキットをシリーズ化しています。同社のディテールアップパーツ同様の精密さで、特型らしい美しい仕上がりの船体フレアが秀逸な洋上モデルです。パッケージには開戦時を再現との説明がありますが、むしろ性能改善工事後の状態でモデル化されているようです。
2015年7月にネームシップの吹雪を発売し、以来特Ⅱ型、Ⅲ型のシリーズも次々と追加し、考証をより突き詰めたリニューアル版も発売するなど、特型駆逐艦のラインナップを充実させています。
2018年には睦月型駆逐艦の睦月を発売し、2021年には丁型駆逐艦の竹、橘を発売しました。
2023年の静岡ホビーショーでは秋月型駆逐艦を発売予定と発表しました。
『静岡模型教材協同組合(シズモ)』
ウォーターラインシリーズ三社(タミヤ、ハセガワ、アオシマ)による組合。
厳密にはメーカーとは異なるのですが、ウォーターラインシリーズの艦載機や兵装、また情景セットやタグボートなどを発売しています。
各社のウォーターラインシリーズをセットにして特別企画品(真珠湾攻撃 空母セットなど)として発売するときも、シズモの名目で発売されるようです。
『エフトイズ・コンフェクト(F-toys)』
各種食玩を製造・販売しているメーカー。
1/2000の塗装済艦船キット「艦船キットコレクション」を食玩として展開。
マリアナ、レイテ、スリガオなど、といったシリーズが出ており、8つ目の呉空襲編で一度完結しましたが、海外艦も追加した「世界の艦船キット」として再始動しました。
大和型に焦点をあてた「戦艦大和の生涯」といった番外編も展開しています。
艦ごとにフルハルVer.と洋上Ver.(要はウォーターライン)の2種類が用意されており、どちらのモデルが入っているかは開けてみないと分かりません。*1
他にミリタリー関係では1/72でフルアクション航空機*2、1/144で航空機と陸上兵器*3、1/300と1/500で大型航空機、1/1250で現用艦船を展開しています。
パーツは全て塗装済みですが、プラモデル同様組み立てが必要な半完成品です。
1/2000と小さいスケールながら艦載機やケースメート副砲まで再現されており、組み立てには模型用工具が必須。
食玩となめてかかると痛い目を見ます。*4
また、「艦船キットコレクション」と「艦これ」がコラボした「艦これモデル」シリーズも発売されています。
こちらはフルハルVer.限定で、クリアディスプレイと組み合わせられる艦娘クリアカード2種(通常&中破)と、艦船まんが付き組立説明書が付属しています。
Vol.1は2014/03月に発売、ラインナップは赤城、加賀、金剛、比叡、高雄、利根、筑摩、翔鶴、矢矧(シークレット)
Vol.2は2014/07月に発売、ラインナップは長門、蒼龍、飛龍、榛名、霧島、愛宕、瑞鶴、武蔵、大和(シークレット)
以降しばらくは音沙汰が有りませんでしたが、アニメ二期放送中の2022年11月、Vol.3が発表されました。
Vol.3は2023/01月発売予定で、ラインナップは扶桑、山城、最上、大和、矢矧、雪風&時雨、磯風&浜風、涼月&冬月です。
そこから少し時を経た2024年3月にVol.4が発表。
Vol.4は2024/07/29発売予定で、ラインナップは足柄、那智、青葉、阿武隈、大淀、瑞鳳、曙&潮、霞&不知火。
嬉しいことに、阿武隈と曙&霞は新金型であることが発表されています。
また、艦これとは2013冬イベ等で縁のある「蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-」とのコラボモデル「霧の艦隊モデル」も発売されています。*5
なお、「艦船キットコレクション」は中に何が入っているか分かりますが(箱に番号が書かれている)、「艦これモデル」「霧の艦隊モデル」は中に何が入っているか分かりません。
目当ての艦を引き当てるには強運か財力、Amazonなどの力を借りるしかありません。*6
『マックスファクトリー(MAX FACTORY)』
figmaなどキャラクター物の完成品フィギュアが中心の会社ですが、2015年10月に同社初のスケールモデル・インジェクションキットとして1/350 島風が発売されました。
……と言っても実は、1/350スケールモデル島風は静岡模型教材協同組合の一翼であるハセガワ製。
同梱の1/20 艦娘 島風を販売元のマックスファクトリーが手掛けてます。
『タカラトミーアーツ』
カプセルトイの「洋上模型 連合艦隊コレクション」シリーズで1/2000の艦艇を展開しています。
カプセルに収める都合上、大型艦の船体は分割式になっています。