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ステップアップ

さて、キットをストレートで組みたてる事が難なく出来るようになって、素組に少し不満を感じるようになってきたら、艦船模型としての完成度を上げる事を目指してみましょう。
※ここからは中級者以上の腕を前提としていますので、工作内容的には初心者にお勧めしません。また、以下の工作には相応に実艦の知識が必要になります。

『装備品パーツの精密化』

詳細

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最近のウォーターラインシリーズには、各社共通パーツとして機銃や魚雷発射管などを纏めた、シズモ(静岡模型教材協同組合)の装備品パーツ(所謂リニューアルパーツ)がセットになっているものがあります。
しかし、このリニューアルパーツも開発から少し年月がたち、今の目で見ると25mm機銃などは少々オーバースケールです。
そこで近年注目されているのが、ピットロードのスカイウェーブNEシリーズや、ファインモールドのナノ・ドレッドシリーズ。
特に機銃はスケールに忠実な大きさになり、より実艦のディテールに即した完成品を作ることができます。
接着剤もプラスチック用のものが使用でき、お手軽です。
価格やセット内容、必要とするパーツに応じて取得選択すると良いでしょう。
最近では模型雑誌やムックで各社パーツセットの紹介や比較記事が掲載されていたりするので、参考になります。

難易度★☆☆☆☆

ファインモールド ナノ・ドレッド 1/700スケールシリーズ

製品番号 WA3 九六式 25mm 三連装機銃 (大和・武蔵用 シールドタイプ)
●セット内容
 ・ 25mm 3連装機銃 シールドタイプ A ×8
 ・ 25mm 3連装機銃 シールドタイプ B ×3
 ・ 台座 A ×4
 ・ 台座 B ×2
メーカー希望小売価格 \1,500(税別)

製品番号 WA4 大和・武蔵用探照灯セット
●セット内容
 ・ 150cm 探照灯 60cm 探照灯 30cm 旗甲板灯 各8個
 ・ 2kw 信号灯 ×4
 ・ 95式機銃射撃管制塔 ×4
メーカー希望小売価格 \1,200(税別)

製品番号 WA5 汎用探照灯セット
●セット内容
 ・ 110cm 探照灯 90cm 探照灯 60cm 信号探照灯 各8個
 ・ 30cm 旗甲板灯 2kw 信号灯 各4個
メーカー希望小売価格 \1,200(税別)

製品番号 WA13 八九式12.7cm高角砲
●セット内容
 ・ 89式12.7cm連装高角砲 ×4
メーカー希望小売価格 \1,200(税別)

製品番号 WA14 艦載電波兵器(レーダー)セット
●セット内容
 ・ 13号電探 ×4
 ・ 22号電探 ×8
 ・ 逆探 ×16(左右それぞれ8ヶ入)
メーカー希望小売価格 \1,200(税別)

製品番号 WA20 魚雷発射管セット
●セット内容
 ・ 8年式 連装発射管 ×4
 ・ 92式 四連装魚雷発射管一型(シールド無) ×4
 ・ 92式 四連装魚雷発射管二型/四型(シールド付)×4
メーカー希望小売価格 \1,600(税別)

製品番号 WA24 九六式 25mm 連装機銃(防盾付き)
●セット内容
 ・ 96式 25mm 連装機銃 ×24
 ・ 連装機銃用 防盾 ×24
メーカー希望小売価格 \1,500(税別)

製品番号 WA25 九六式 25mm 三連装機銃(防盾付き)
●セット内容
 ・ 96式 25mm 三連装機銃 ×24
 ・ 三連装機銃用 防盾 ×24
メーカー希望小売価格 \1,500(税別)

※2015年4月現在時点でWA29まで発売されている
※WA1/WA2/WA7/WA8はリニューアルにより生産終了
また、スポット生産品ながら各戦艦、空母用などのセット品も販売されている

『張り線』

詳細

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当時の船には必ず張られていたアンテナ線を再現する技法です。
余った不要なランナーを、火で炙って伸ばして使う(伸ばしランナー)ものから、ドールヘア、自分の髪の毛、高価な鮎釣り用の金属製釣糸まで、素材は数々あります。
伸ばしランナーはプラ用接着剤でも接着できますが、それ以外の素材は基本的に瞬間接着剤を使用します。
少しテンションをかけてまっすぐ張ると、見栄えが良いです。

なお、適度に省略して数本を張る程度ならばそれほど問題にならないのですが、実物を意識してたくさん張り線をする場合、プラパーツのマストのままでは強度が不足することがあります。
このような場合はマストを金属線で作り直すなどの処置が必要になり、難易度がさらに上がります。

※伸ばしランナーは可燃物のない換気の出来る場所で行って下さい!また、火傷や吸煙にはくれぐれも気をつけて下さい
難易度★★☆☆☆

『木製甲板シートを使う』

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近年、木甲板の艦種(戦艦や空母など)については、木甲板を再現するために木製甲板シートが発売されることが多くなってきました。
0.3mm前後の非常に薄い木製で、これを使えば塗装では難易度の高い木甲板の質感が比較的手軽に表現できるとあって、人気のディテールアップパーツとなりました。
ただし、きっちり貼るのはそれなりに難しく、製品によっては糊の付いてない物もあります。
また貼ったあとに湿気で波打ったり、経年変化で剥がれてくることもあり、なかなかに気むずかしいパーツと言えます。
余談にはなりますが、1/700ではいくら薄いとはいえ、少々オーバースケール気味なようです。
それを言いだすと元々モールドされている木甲板の板目も相当なオーバースケール表現ではあるのですが、元の部品と甲板シートで段差になると嫌う向きもあるようです。
艦これ模型スレではこの段差を克服すべく木甲板にあわせてプラ部品側を薄く均等に削りこむ猛者がいたことも…

難易度★★☆☆☆

『金属砲身に交換する』

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プラスチックの部品は、成型の都合上、どうしても合わせ目(パーティングラインと言います)が出来てしまいます。
砲身も例外でなく、砲身の真上にラインがあったりしますので、その関係上砲身は完全な真円とはなりません。
そこで、各社から発売されている金属砲身に取り替えることで、主砲や副砲の見栄えを向上させることが出来ます。
軽巡や駆逐艦、高角砲の砲身は太い物が多いですから、小口径砲では特に効果が高いです。

難易度★★★☆☆

『マストを金属で作り替える』

詳細

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1/700というスケールでは成形の関係上、マストが実物より太い物がほとんどです。
また1/350スケールでもプラ部品は強度が低く*1、張り線の基部としての強度を確保するためにマストを作り替える事も多いです。
具体的には、真鍮線などの金属で作り替えるという手法になります。
細い金属の線材同士を組み合わせますので、瞬間接着剤、もしくは半田付けが前提になります。
また、実物通りにこだわるならば、マストの先端を細く尖らせる、ちょっとした旋盤加工(といっても、リューターで出来ますが)が必要です。
素材を金属にする*2ことで細くても頑丈になり、金属線の張り線をビン張りしても負けない立派なマストを作ることができます。
ただし、最近の精密なキットではマストもかなり細めに作られている上にマストにも素晴らしく精密な彫刻がされていることが多く、金属で作り直す場合はそれらのメリットを捨てることになる点は注意。
あくまでマストの細さをとるか、精密な彫刻をとるか、このあたりは張り線をどの素材でどの程度まで再現するか、それに必要な強度にも関わってきます。*3
自身のテンションと技術、目的に応じてよく考えておきたい所です。

ちなみに艦首や艦尾の旗竿もマスト同様キットのプラ部品は太すぎる場合が多く、マスト同様細い金属棒に作り替えるとより一層実物らしくなります。マストより形状が単純かつ非常に効果が高いため、まずはこの旗竿の自作から挑戦してみるのもお勧めです。

難易度★★★★☆

『エッチングパーツを使う』

詳細

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エッチングパーツというのは、薄い金属板(0.2mm前後)のものを腐食加工して作ったパーツのことを言います。
艦船模型では手すりやレーダーなど、エッチングパーツを組み込むことで精密化出来る部分が非常に多いです。
しかし反面、繊細な取り扱いが要求され、船体への取り付けは基本的には瞬間接着剤を使用しますので、組み込みの難易度は非常に高いです。
また、エッチングパーツ自体が比較的高価で、必要な部品を一通り集めると、キットの5倍程度かかった・・・なんてこともよくあります。
これが使いこなせるようになれば、間違いなく艦船模型モデラーとしてはトップレベルの腕です。
なお金属面そのまま塗料を塗ると剥がれやすい上、パーツの表面に油分が付着していると塗装を弾く事もあります。
塗装する前にエタノール等で脱脂をし、さらに金属用のプライマーを先に塗っておくと安心でしょう。
フジミの特シリーズの一部(龍驤や大淀など)にはエッチングパーツが同梱されているので、最初はそういったキットで感覚を掴むのも良いでしょう。
なお、艦これ仕様のキットの一部(千歳以降の新製品)にもディティールアップ用のエッチングパーツがおまけで付属しています。

難易度★★★★★


*1 このサイズでやっとスケール通りの”細さ”になっている場合が多く、スケールが倍になったのに1/700と同じくらい細かったりする
*2 さらに半田付けで強固に接着できれば尚更
*3 例えば強度が必要な部分を金属で置き換えつつ、元のプラ部品を切り刻んで彫刻を見せたい部分は利用する等の応用も考えられます