スケール
プラモデルとして発売されているスケール(縮尺)は様々です。
一般的なのは1/700と1/350ですが、スケール統一前の製品は各社様々なスケールのプラモがあって興味深いですね。
『1/3000』
かつてフジミが展開していた軍港シリーズのリニューアル製品です。
スケールは1/3000で、軍港を中心に各種艦艇が付属。
気軽に軍港のジオラマを楽しめる内容になっています。
最近は艦艇のみのセットも発売され、シリーズが充実してきています。
また艦船は相当小さい物の、最新の金型による造形で細かく再現されています。
『1/2000』
プラスチックモデルとしては長らく絶滅状態にあったスケールで、アオシマの(元はバンダイの)ワールドネイビーシリーズ*1が比較的入手し易い。
食玩ではあるがエフトイズのもの、カプセルトイではあるがタカラトミーアーツのものも同スケール。エフトイズと同じものをキット化したものがプラッツからも出ている。
スケールモデルとしてはマイナーな規格の一つではあるが、とにかく作りたいが置く所が無い人ないし、戦艦を大量に集めてリアル八八艦隊をやりたい人にお勧め。ただし、五十万トン戦艦のキットはない。
欠点としては、大きさからくる製作難度の高さ(特に艦載機)と、ディテールの甘さ。
後、買うときは一箱に何個入っているか確認すること。
キットによっては二隻から四隻のセットで売られていたりするが、店舗によってはバラ売りしていたりするので、たまに欠けていることがある。
『1/700』
艦船プラモデルといえばこれ!と言っても過言ではない程のラインナップを誇る中核をなすスケールで、ウォーターラインシリーズもこれにあたります。
ウォーターラインシリーズがとにかく大所帯なので洋上モデル(船底がない)のキットが大多数を占めますが、近年はフジミやピットロードを中心にフルハルのキットも徐々に増えてきています。
キット数が他スケールに比べてダントツに多く、値段も手ごろなのでコレクション性が高いです。
膨大なキット数があるため出来や難易度は千差万別。
このスケールでしか製品化されていない艦も多いので、誰しも一度はお世話になるスケールと言えるでしょう。
ニチモの項で触れられているとおり、戦艦・空母などの大型艦はだいたい30cm前後の大きさになるため、30cmシリーズの近似スケールでもあります。
近いスケールとして、イタレリやレベル等の海外メーカーの古いキットで1/720というものもあります。
『1/600』
アリイから発売されているスケールで、大和型、アイオワ級などが発売されています。
旧オオタキの金型を、アリイが引き継いで発売している製品になります。
海外ではかつてAirFixがイギリス艦を中心に積極的に展開していたスケールで、新規開発は久しく行われていないものの、現在でも稀に再販がかかることがあります。日本では入手しづらいですが、英艦を中心にそれなりのラインナップを誇ります。
いずれも船底まで再現したフルハルモデルです。特にアリイの大和型・アイオワ級は、今では貴重な「浮かべて遊ぶ」モーターライズ仕様となっています。真っ直ぐしか走らない全長45cmのデカブツをどこで浮かべて遊ぶんだ、とか言っちゃダメ。
『1/500』
発売されている艦は少ないものの、主流の1/700より大型で、1/350より置き場所に困らないという、中間的な存在のスケールです。
かつてはニチモから戦艦・空母・重巡等が発売されていました。ニチモの撤退に伴い、実質フジミの大和、長門のみとなっています。
『1/450』
実質ハセガワのみのスケールです。
大和型が近年リニューアルされ、少なめのパーツで組み立てやすく、模型栄えのする大きさの割に低価格の良質キットとして注目を集めてます。
また空母信濃が、そして現用艦としてイージス艦のあたご、ヘリ護衛艦のひゅうがも発売されています。
大和が欲しいけど、1/700では物足りないが1/350は複雑すぎて難しそう、という初心者の方に特にオススメしたいキットです。
他に、赤城、ビスマルク級(共に現在生産中止)やミズーリ、ヴァンガードがあります。
『1/350』
1/700の次にメジャーなスケールで、基本的にフルハルモデル(船底がある)です。キット数は少ないですが有名艦は大抵キット化されています。
魅力は何と言ってもその迫力でしょう。また、スケールが大きい分再現度も高いです。
ただし、値が張るうえ、場所をとるため数をコレクションしたい方には不向きです。特にお気に入りの艦を作るのに適したスケールでしょう。(特にお気に入りの艦が無い場合が多いですが…)
タミヤは近年大和を新金型でリニューアルしており、市場には新版と旧版が混在しています。
ディテールにこだわるなら新版、考証は古いけどお手軽に製作したいなら旧版を選択しましょう。
ただし武蔵は現在の所旧版のみであり、2015年の海底探査の結果を踏まえた新版の発売に期待したいところです。
近年は海外メーカーもこのスケールに積極的に参入しつつあり、他のスケールには無いマイナーな外国艦が発売されるなどの逆転現象も起きています。
『1/250』
アリイより「大和」と「武蔵」が発売されています。これは旧オオタキの金型をアリイが引き継いだ物で、ニチモの1/200大和に次ぐ大きなキットになっています。
童友社からは「大和」「武蔵」「信濃」が発売されています。「信濃」の大型模型は実質上、童友社発売分1/250のみと言えます。いずれも旧日本ホビーの金型を引継ぎ、一部変更を加えられたキットでモーターライズ仕様になっています。
元のキットが非常に古いため、他の大和型モデルと比べると別の艦に見えるほどの考証の古さ(間違い)が目を引きます。ですが部品数は少なめ、かつモーターライズ仕様ですのでラジコン化するには適しているかもしれません。
『1/200』
非常に大きなスケールの1/200ですが、若干数ながらシリーズが存在します。
ニチモの1/200シリーズがほとんどで、大和型や陽炎型、秋月型などが発売されてます。(されていました)
なんと言っても大和は、今現在発売されている大和型のプラモデルとしては最大級の物で、模型店の商品棚でも圧倒的な存在感を持っています。細部の作りは全体的に古いのですが、時代の割に優秀なキットが多いのも特徴で、今でもラジコン化の為のベースとして重宝されています。
但しニチモの撤退により生産中止となっており、また金型が古いため国内他メーカーからの再販も無さそうです。
海外艦船については、最近はトランペッターが積極的に展開しているスケールでもあります。日本艦船でも戦艦三笠がラインナップされ、日本国内ではウェーブが販売しています。
さらに「艦船模型」と言えるのかがアレですが、フジミ模型からは戦艦大和の「主砲塔だけ」、「艦橋だけ」と一部のみをモデル化したシリーズが始まりました。
大スケールならではの細かい表現の数々が見られる上に艦船模型の魅力兼悩みどころでもある巨大な船体が無いので、スペース的に集めやすいシリーズとなっています。
『1/144』
艦船模型の中では大型スケールとなる1/144では、比較的小型な艦船がいくつか発売されています。
海外製品でUボートやZ1型駆逐艦、米海軍フレッチャー級駆逐艦、LSMといった艦艇の他、
国内メーカーではシールズモデルズの内火艇(長門、陸奥搭載長官艇)や、ピットロードの海上自衛隊エアクッション揚陸艇LCAC、
Sweetの航空甲板やタカラの九六式25mm三連装機銃、同12.7cm連装高角砲といった一部を切り取った製品の他、
非常に高価な受注生産品、またガレージキットではありますがまるゆ1型などが発売されています。
『1/72』
艦船模型のスケールとしては非常に大きな1/72ですが、小型艦艇などで採用されることのあるスケールです。
日本の物では、ファインモールドから甲標的や例のアレが発売されています。
また、すでに退役してしまいましたが、現代艦としてタミヤの海上自衛隊魚雷艇PT-15などもあります。
海外製品ではUボートVII型、IXC型(U-511/呂500と同型)、IXC/40型(呂501と同型)なども製品化されていたりしますが、小型艦とはいえ完成時全長が1m前後になるかなり大きなキットなので注意しましょう。
『鉄道模型スケール』
商業ベースの製品にはまず存在しませんが、まれに1/87、1/80、1/150と言ったスケールのフルスクラッチモデルやガレージキットが出現することがあります。
と、いうのはこのスケールは鉄道模型のHOゲージ(世界共通・1/87、日本型16番・1/80)、Nゲージ(海外型1/160、日本型1/150)のスケールなのです。
鉄道模型ではジオラマを造ることが多く(鉄道模型界隈ではレイアウトと呼称することが多いです)、港湾を題材にする際に艦船の模型が作られることがあります。
特に1/150スケールは艦船模型や航空機模型でも近似スケールの1/144が存在することもあり、(船の大きさを無視すれば)陸海空全てを近似スケールで揃えられる唯一のスケールとも言えます。
もっとも、日本では基本的に戦後の情景で作られることが多いため、大日本帝国海軍の艦艇は三笠以外はまず自力でフルスクラッチするしかないのが現状です。
1/144大和などがキットや完成品で発売されることもありますが、軽く100万円近い価格になるのでなかなか入手は難しいでしょう。
逆に入手が(あくまで)比較的たやすいのが青函連絡船です。
なおNゲージよりさらに小さいZゲージは1/220で、1/200や1/250の市販キットを使って「軍艦のいるレイアウト」を造ることができるかもしれません(実際に海外でZゲージと組み合わせたジオラマの作例がいくつかあります)。
『その他のスケール』
中には上記に分類されないようなプラモデルも存在します。
フジミのちび丸艦隊シリーズや、ニチモの30cmシリーズなどがこれに当たります。
ちび丸艦隊シリーズは実艦をディフォルメしたもので、キャラクターモデルで言えばスーパーディフォルメ(SD)にあたる製品です。
30cmシリーズは、箱に入る大きさにスケールを調整された製品で、たとえば金剛型と大和型では縮尺が変わる、所謂「箱スケール」と呼ばれる製品になります。
また、海外の製品では、1/800、1/720、1/400などといったスケールも存在します。